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路傍にひっそりと六部碑  

六十六部の碑
六十六部の碑の大方は、どんな事情で造立されたか明らかではないが、当時全国の神仏を巡拝することは交通不便な時代には用意ではなかったし、それだけ大願成就の喜びは大きかったのだろう。
しかしこの碑の中には滅罪と病気平癒の誓願を込め、死後の安楽を望みながら、命の灯の消え果るまで回国巡礼をしつづけ、どこかの村で死んでいった巡礼の碑もかなり多く見られる。


三浦市初声町三戸(はっせまちみと)の海岸に近い神田の里の路傍に寂然と斜陽を浴びて立つ六部の供養塔がある。正面には「奉納大乗妙典六十六部塔」左右には「文化甲子年霜月摩訶日」「経営神田五郎吉」t印刻されている。
江戸時代に弘法太師を崇拝する信者で、白装束をつけ笈摺(おいづる)を荷い、一笠一杖で鈴を打ち鳴らし法華経を唱えながら五郎吉宅の前に立ったのは文化元年十二月のことであった。当時は旅僧や巡礼などを親切することを誇りとする習わしがあり、一夜の宿を提供するいわゆる善根宿の慣例があったといわれている。
五郎吉はこの六部を早速家に案内し、その日の宿を供した。そして米や草履を恵み、白衣のほころびなどつくろって接待した。
ところがその夜から、六部は突然の病のため床に伏すようになり数日後看病の甲斐もなく息を引き取ってしまったという。
五郎吉はこの六部の死を悼み、この近くの海岸に六部の装束や鉦などを埋めて碑を立て手厚く葬ったといわれている。
出典 「三浦半島の史跡と伝説」 松浦豊著



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六部塔近くの海岸

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哀れな六部
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